閃きの独り言

✨感性のまま✨繫るまま✨気付きのまま✨

涙の色《創作》

f:id:mitukihana:20200929083900j:image

2020.9.26 志高湖

 

💠

 

ある二柱がありました。

 

男神と月の女神は引き裂かれ、

神々の争いの中、

分断を余儀なくされました。

 

男神は天女と結ばれました。

 

月の女神は

涙の河に流されて流されて、

波に争う力も、泣く力も無く、

見えなくなるまで流されました。

 

どこに流されたのか、知る人も無い。

 

月は自らは輝けない。

太陽の光を浴びて輝く。

 

月の女神は見えなくなりました。

 

男神と天女は
その国を成しました。

 

男神は、争いで勝利した側の天女と結ばれ…国を成す事になったのです。

 

天女は、側にいる男神の心が見える。

肉体は側にありながら、魂は…そこには無い。

 

男神の彷徨う魂は…天女の側には無い。

天女は分かっていたけれど、男神を愛しました。

 

側にいてくれる肉体だけを見て、魂は見ないようにしたのです。

男神の魂は、ここに無くても、肉体は…とても優しかったから、

愛されていると感じる事が出来たから。

 

長い長い年月が経ちました。

 

肉体には限りがある。

 

男神も天女も…

肉体は朽ち…

 

時代は変わり、

時代は移り、

時が来ました。

 

月の女神は一人いました。

 

『どこかで自分を呼ぶ声がする?』

懐かしい声

 

『迎えに来たよ』

男神の声

 

『……… 』

 

待っていた、言葉にならない声を
自らの頬を伝う涙が消す…

 

男神の魂は…

やっと…

月の女神の元へ。

 

男神は太陽

月は太陽の一部

月の女神は、やっと会えました。

 

太陽と月が揃い

宇宙は本来のバランスを取り戻す。

 

男神は月の女神に

『やっと会えた』

と。

 

月の女神は黙って顔を埋めました。

言葉にならない言葉が二柱を包む。

 

太陽は本来の輝きを取り戻し

月は…やっと太陽に照らされて輝く。

本来に戻ったのです。

 

月の女神は…

男神には二度と会えない

自分は愛されてはいないのだと…

もう自分は忘れ去られた…

と。

 

男神の胸の中で、

それまでの全ての涙を流しました。

 

そして、

自分と同じ涙を、男神の中に見つけたのです。

 

男神の中の涙は

月の女神の心を洗い流します。

 

二柱を引き裂いた長い時(時間)は

どれだけの涙を心の泉に溜めたでしょう。

 

💠

 

ふっと見ると、

既に肉体は朽ちた天女がありました。

 


月の女神は

 

天女の中にも涙が…

 

天女は、

男神の魂は月の女神を探していた事を知っていた

肉体は一緒にいたけれど、

魂は自分のそばには無い。


天女にも涙がありました。


月の女神は泣きました。

悲しかったのは自分だけと思っていたから。


だから、天女の中の涙を見て、泣きました。


引き離されて一緒にいられない悲しみ

月の女神の涙。


一緒にいても魂は側にない悲しみ

天女の涙。


二人は…

互いの悲しい立場を想い


言葉なく

互いを理解しました。

 


男神の涙は…


月の女神とも、天女とも

違っていたけれど…


確かに男神の中にありました。

 


昔昔

 


もう誰の記憶にも無い

 


女神と男神のお話です。